プラスチックは、軽量化・形状の自由度・低コストという優れた特徴があり、広く市場で使用されています。ただし、通常、顔料や染料で着色し、成形品へ加工したり、表面を塗装するといった工程を経て市場へ供給されています。
この廃プラスチックをリサイクルするとき、着色された色が混ざり合ったり、細かい異物が混入してしまうので、黒色調色に限定した利用しかできず、大部分が再利用されずに産業廃棄物として処理されています。
UBEでは、ポリプロピレン(PP)の廃プラスチックの色調を変え用途に合わせて物性を変える技術を独自に確立し、家電や自動車部材に使用されるリサイクルプラスチックのビジネスに取り組んでいます。
UBEは、この廃プラスチックのリサイクル技術を2002年に開発。2007年1月には家電・自動車メーカーの相次ぐ採用を受け、事業化(商標名「UBE−コンポジット(R)」)に至りました。
光遮蔽性の強い顔料などで、光の透過性をコントロールすることにより、様々に着色された廃プラスチックを要求された色に再着色するだけでなく、混在物を見えにくくする技術を開発することに成功しました。淡い色への着色も可能なため、家電等の見える部分に使用することができるようになりました。
独自技術で生産された調色リサイクル樹脂は、一見普通のプラスチックと見分けがつきませんが、色の深み、耐傷付き性、色むらの無さなど、優れた点がたくさんあります。UBEでは、家電・自動車メーカーとこの技術によるリサイクル樹脂の共同検討を多数実施し、市場開拓をさらに進めていきます。
UBEのセメント工場では、廃棄物を受け入れています。その廃棄物とは、都市ごみ焼却灰から廃プラスチック、古畳、汚泥などさまざまです。
なぜかというと、そうした廃棄物には、セメントの主原料(石灰石・粘土・硅石・鉄源)と同じ成分が多く含まれていて、約1500℃の高温で焼成するとセメント原料に生まれ変わるのです。しかも、廃棄物中の有害成分はダイオキシンを含めて完全に分解され、廃棄物を燃やした灰は原料として利用、廃プラスチックや古畳は破砕して焼成燃料として使用します。
これにより、これまで埋め立てや単純焼却処分するしかなかった廃棄物を、安全かつ安定的に大量処理することができます。最終処分場も不要です。しかも、二次廃棄物を排出しないので、CO2の削減にもつながります。
RDF (Refuse Derived Fuel):廃プラスチック、木屑、家庭ごみを圧縮処理し固形燃料化したもの。
セメントは、社会インフラの形成や街づくりに欠かすことのできない素材として活躍してきました。また、近年では震災・災害復興や建造物の維持・更新などにより需要の増加が見込まれています。
UBEのセメント生産量(宇部、伊佐、苅田の3工場合計)は年間760万トン、廃棄物・副産物(セメント仕上げ添加用石膏ほか)を年間322万トン受入れた結果、セメント1トン当たり約420Kgの廃棄物・副産物を再資源として活用しています。
また、廃棄物受け入れによる処理収入は景気変動の影響を受けにくい特徴があります。そのため、安定的に今後の市場成長も見込める重要な収益源としてUBEの成長を支えています。(2015年の売上高は160億円を目標に掲げるまで成長しています)
このように、セメント工場は、循環型社会の構築に大きく貢献する「究極の資源リサイクル工場」といえます。
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